分子シミュレーション学会とは
分子シミュレーション学会は、コンピュータシミュレーションの手法により分子集合体の物理・化学的性質を求めるための諸問題を研究する会員により構成されています。会員は大学・研究所・企業の研究者、大学院生・学生が主です。本学会の主な活動には、分子シミュレーション討論会、国際会議、分子シミュレーションスクール、講習会、産学連携フォーラムがあります。また、学会誌「アンサンブル」が発行され、会員同士の情報交換に用いられています。その他、会員の所属する研究室の大学院生らによって夏季研究会が行われています。
会長挨拶
分子シミュレーションは物理、化学、生物、材料、機械など幅広い分野における基盤技術となっています。理論、アルゴリズム、および、計算環境の発展によるものであり、現在では機械学習やデータ科学の手法をも融合することでさらなる進展が見込まれ、実験を先導するような役割も大いに期待されています。分子間相互作用や分子集合系に関わる学理を主として理論計算の立場から深め、さらに、他分野の研究者との交流や実験計測との連携、産学の協働などをも通して問題意識の絶えざるアップデートを図るための場を提供することが、専門学会としての分子シミュレーション学会の役割です。
1997年、分子シミュレーションを研究手段とする研究者が集まって分子シミュレーション研究会が発足しました。分子シミュレーション研究会は、毎年初冬に分子シミュレーション討論会を開催するとともに、会誌「アンサンブル」を年に4回発行し、さらに、350名以上が参加する分子シミュレーションスクールを分子科学研究所とともに毎年主催するなど、 分子シミュレーションに関わる研究者コミュニティの交流の場として実りの多い活動を続けてきました。2019年には分子シミュレーション学会として新たなスタートを切り、分子集合系に関わる学理の追求、新たなアルゴリズムの提案、および、工業的に重要な系をも含む実在系の解析を一体として展開できる場として発展しています。
学会活動の多くは、分子シミュレーションに関わる若い方々による分野横断的な奉仕活動をもとに成り立っており、着実かつ若さと活力にあふれたものとなっています。社会からの期待を反映して、産学連携も盛んになされています。このような学会活動が学会員および関係諸氏のお役に立つことはもちろん、研究者を目指す学生諸君の励みにもなることを願っています。
本ホームページは、学会活動の内容を広くお伝えし様々な情報を迅速に提供するためのものであり、同時に、分子シミュレーションに関わる皆様の交流の場としております。 分子シミュレーション学会の活動が、分子シミュレーションの関わる分野の発展に大きく貢献できるよう、皆様の力強いご支援をお願い申し上げます。
分子シミュレーション学会会長 松林 伸幸(大阪大学大学院 基礎工学研究科)
学会の沿革
- 1987年12月
- 科研費特定研究「溶質-溶媒相互作用の微視的動態解析」計算機シミュレーショングループの研究会として、第1回分子シミュレーション討論会開催
- 1988年12月
- 同グループが母体となり分子シミュレーション討論会実行委員会が発足。第2回分子シミュレーション討論会開催
- 1994年11月
- 第1回分子シミュレーション国際会議(ICMS)を開催
- 1997年8月
- 第1回分子シミュレーション夏の学校開催
- 1997年12月
- 分子シミュレーション研究会発足。討論会の主催を引き継ぐ
- 1999年6月
- 分子シミュレーション研究会 News Letter “アンサンブル” 発行
- 1999年12月
- 分子シミュレーション研究会学術賞を制定
- 2004年1月
- 第2回分子シミュレーション国際会議(ICMS)を開催
- 2004年10月
- 分子シミュレーション研究会会誌 “アンサンブル” 発行
- 2007年11月
- 分子シミュレーション研究会優秀発表賞を制定
- 2007年12月
- 第1回分子シミュレーションスクール開催
- 2013年11月
- 第3回分子シミュレーション国際会議(ICMS)を開催
- 2017年11月
- 研究会発足20周年を記念して,討論会にて特別講演を開催
- 2019年1月
- 分子シミュレーション学会に名称を変更
- 2021年11月
- 分子シミュレーション学会産業奨励賞を制定